No.25 Jazadocment「I don’t like you (feat. Furui Riho)」
自身名義の「I’m free」でも顕著だったように、フラストレーションを抱える人々にとってFurui Rihoの詞世界は一種の代弁であり、願いそのものでもある。かつてJASMINEがそうだったように、若者にもっと浸透してほしいアーティストの一人。
No.24 claquepot「sweet spot」
閃光のごとく鋭いインパクトをもたらすこの楽曲は、未だベールに包まれた部分も多いSSW、claquepotのデジタル作。ポップス、R&B、さらにはダブステップを基調としたEDMと、目まぐるしくカラーを移ろわせる驚異のスピード感に脱帽するほかなし。
No.23 久保田利伸「Boogie Ride」
昔から自動車メーカーとのタイアップが多い御大が、昨今のグルーヴ情勢にも配慮しながら臨んだ新時代のドライブソング。”年を取っても自由に弾けよう”と言わんばかりの世界観に、湧くのはもはや頼もしさのみ。
No.22 SIRUP「Thinkin about us」
年の瀬にSIRUPから提示された他者との対峙。それはまさしく、向かい風の局面に立たされながらも歩みを止めない、現代の私たちのアンセムとして深く突き刺さる。満身創痍な様子が窺える終盤のパートは、痛々しさとたくましさの名ハイブリッド。
No.21 YU-G「Good girl」
関西の中堅男性シンガー。ベッド上の会話を覗き見ているような迫真のエロチシズムと背徳感からは、R&Bシンガーとしての気概がビンビンと感じられる。DJ WATARAI仕込みのメリハリあるトラックも◎。
No.20 YOSA & TAAR「BLU (feat. FLEUR)」
SIRUPやeillら客演の1stアルバム『MODERN DISCO TOURS』が広く支持されたDJ/プロデューサー、1年ぶりの新曲。読んで字のごとく雲ひとつない”青さ”を運ぶエレクトロニックな音群に、FLEURの技巧派ボイスが表情豊かな虹をかける。
No.19 MISIA「CASSA LATTE」
ビッグバンドによるダイナミックこの上ない演奏と、断じて引けを取らない絶唱。パワーとパワーが乗算のごとく膨らみ上がり必然と熱気を呼び起こす、MISIA史に残るアッパー。
No.18 YOASOBI「たぶん」
まさしく破竹の勢いでJ-POPシーンに登場したYOASOBI。初のミドルテンポとなった同曲はLo-fi Hip Hopのユルさを纏い、R&Bリスナーにも強く訴求。メジャーコードで紡ぎ出される切なさが、なんだかんだ一番切ない。
No.17 POOL「Open the way」
今年発足したばかりのクリエイティブ・ユニット。メリハリの効いたフューチャリスティックなアレンジは、SF映画さながらのスリルと疾走感。軸を担うボーカル・MEGの馥郁とした大人ボイスも素晴らしいの一言。
No.16 MOL「uh ah…」
三者三様の技巧を生かした妙々たるR&Bに舌を巻く反面、男の絶望とはこうも気の毒なのかと、聴くたびに複雑な感情が走る。とりわけ、2バース目を担う笠原瑠斗の咆哮にも似たせり上がり歌唱は究極のハイライト。
No.15 FAKY「little more」
「half-moon」「ダーリン」とバラード調のシングルが続いていたFAKYに、目の覚めるような転換をもたらしたのがこの楽曲。ソリッドなダンスミュージックにまたがる彼女たちにはやはり、無類のカッコよさがある。作詞はメンバーのLil’Fangが担当。
No.14 傳田真央「Less is More」
再始動後3作目。ミニマル思考をテーマにした軽妙な言葉選びが彼女らしい。欲求に対して実直な姿勢は90年代R&Bに倣ったサウンド面にも表れており、好きなことをやらんとする、ベテランの新たな心意気が感じられる。
No.13 Ysoultruth「For you (feat. 若江 爵紀)」
新型コロナの影響が深刻化し、日本中の誰もが元気を失っていた2020年4月。何にも出来ないけど、どうにか癒しを届けたいと切実に願う二人に、何度心を救われたことか。
No.12 藤井 風「帰ろう」
ミュージックビデオ解禁後、加速度的に心を撃ち抜かれた。なんだこの良い曲は。宇多田ヒカル「忘却」を思わせる”立つ鳥跡を濁さず”な死生観に、他者を思いやる彼の純朴な性格が表れている。サビで一気に視界が広がる感じも天国チックで良い。
No.11 ASOBOiSM「Whateva♡ (feat. Issei)」
isseiとMANABOON(同曲アレンジャー)。今年のJ-R&Bを代表する面目躍如の二人を迎えた贅沢な一曲。ASOBOiSMによる浮遊感のある歌唱が淫靡な雰囲気を良い意味で薄め、カジュアルな感覚で浸れるベッドタイムR&Bを確立。
No.10 ZIN「Buddies」
彼の源流として血肉化されているネオソウルを、色気だだ漏れのスムースボイスで、それも首尾よく日本語を主体に伝えるという堅実な手法に感服。ステイホームの文化が定着した2020年後半、心身の後ろ盾になり得る強い絆を歌った彼の功績は大きい。
No.9 AMAYA「TRIPPIN’ LIP (feat. 13ELL)」
猛者揃いの関西クラブサイドからまた一人、スルー厳禁な若手シンガーが台頭。ミドルテンポの穏やかなトラックには今様のチルアウト精神と西海岸テイストが同居し、彼女が発するしなやかな歌声をいっそうキュートに盛り立てる。
No.8 宇多田ヒカル「Time」
プリミティブなプロダクションを選ぶようになって久しい宇多田ヒカル。にも関わらず、この楽曲には装飾の概念を超えた濃密なドラマがある。特に、一種の寂しさを秘めた詞世界が、小刻みなハイハットとともにノスタルジーを増幅させていく終盤の展開は、いくら”ながら聴き”をしていても毎回引き込まれてしまうほどの威力。
No.7 MORISAKI WIN「Wonderland」
このところタレントとしても人気急上昇中、元PrizmaXのエンターテイナー。Michael Jackson、Justin Timberlake、そしてBruno Marsと、世界的ダンスポップの系譜を如実に浮かび上がらせる身軽な才能が完全大フィーバー。ぜひ生の場で拝みたい一曲。
No.6 iri「Sparkle」
「会いたいわ」のTikTokヒットもまだ記憶に新しいiri。同名アルバムに収録されたこの楽曲は、イントロから壮大な雰囲気が一気に巻き上がるKan Sanoプロデュースのアーバン・ミッド。悠然とうねる旋律に身を委ねれば、無機質な建物が立ち並ぶ近未来へのトリップ間違いなし。
No.5 MAVRIQ「Booty Call」
TamとKayからなる男性デュオの1st EPから。ダウナーなトラックに揺られながら繰り返されるタイトルコール。オントレンドなR&Bとしての確かな機能性を持たせながら、キャッチーネスへの余念も見せないあたり、全くもって隅に置けない二人。
No.4 UNI-Qreatives「Lies (feat. Yui Mugino)」
「goodbye bad times」に続くランクイン。実力派を招いたシングル群はどれも優劣をつけるのが難しいものの、強いてお気に入りを挙げるなら刺激たっぷりのコレ。麦野優衣の妖しいボーカルがフルに炸裂し、王道&センシティブなR&Bの骨頂とも言える名曲に。
No.3 TENDRE「JOKE」
他人へのディスに溺れるギスギスした群衆に対して、「まあまあ」と半ば戯けながら諭していくのがTENDREスタイル。純然たるエンタメ曲としてスカッとするし、一貫した彼のユルさにも痺れる。デッデデッデデッデ!
No.2 藤井風「キリがないから」
温もりを感じる名バラード「優しさ」で藤井風の良質な歌心に驚嘆したのも束の間。この楽曲で我々は、またしても快楽の小宇宙に放り出されるのだった。不適さを携えた節回し、開放的なエレクトリックサウンドと、彼を新進気鋭たらしめるアイデアの数々はまさにキリがない衝撃。
No.1 黒川沙良「ブリコー」
2020年の首位は、ムーディーな静けさと悲壮感が滴るストーリー展開で大いに魅了した「ブリコー」に決定。楽曲の前半と後半で、人が変わったようにボーカルの熱量をチューニングする黒川沙良の高い表現力がとにもかくにも感動的。そして、R&Bの現行と伝統の両面を重んじ、当該リスナーを余すことなくノックアウトさせたサウンド・プロダクト。誰が何と言おうと、やっぱり2020年はMANABOONの年だった!
▼プレイリスト「BEST OF J-GROOVE 2020」
▼100位-51位の発表はこちら