JAPANESE R&B

【アルバムレビュー】傳田真央 『I AM』

今年活動を再開した傳田真央のニューアルバム『I AM』をレビュー。2000年暮れにリリースした『Eternal Voice』以来、実に9年ぶりとなるアルバム作品です。この日をどれだけ待ち侘びたか・・・。

主な収録曲を追っていくと、Jeff Miyaharaとの最初のタッグとなった切なさ満点の再始動曲②『Bitter Sweet』、軽やかな4つ打ちビートが鳴る今井了介プロデュースの垢抜けたアップ③『Zutto』、結婚前夜の女性の胸中を描いた美麗バラード④『泣きたくなるけど』、軽いラップパートも取り入れた落ち着きのあるミディアムR&B⑥『Let it go』、壮大なアレンジと神々しい傳田嬢の美声が見事にマッチしたラブバラード⑦『Breathe In Love』、「ウーベベウーベベウーベベ♪」という可愛らしいバックコーラスがキャッチーなFink bro.制作による⑧『Be My Hero』、ダンスホールっぽい跳ねビートを敷いたスイーツ(笑)脳一直線のアッパー⑨『ONEWAY Exp.』、自慢の高音を最大限に広げた凛とした佇まいのミディアムチューン⑩『Butterfly』、「女性は逞しい!」と溌剌と歌ってのける先行シングル⑪『My Style』、歌唱・サウンドともに少なからずブルースを意識したであろう異色の3拍子スロー⑫『リトルメアリ』、そして兼ねてから配信リリースされていた、自身のメジャーデビュー曲の現代的リメイク版⑭『耳もとにいるよ… ~Ring the bells REPRISE~』などなど、とにかく瑞々しい音群と透明感あるボーカル・プロダクションが抜群に際立った、再始動以降の歩みの集大成的内容になっています。

ただ、その反面予想通りと言うべきか、デビューからの数年に窺えた、かつての骨太なHIP HOP的要素はすっかりを鳴りを潜めており、その点は少々物足りなく感じました。まぁ今は路線から何まで9年前と似て非なるものに昇華されてますし、至極当然の内容と言ったらそうなんですが。

またリリック面においても、『Eternal Voice』の頃と比較すると洗練かつ都会的な内容のものが目立ちます。当人(レコ社)は今やその「アラサー代表(笑)」的思想や立ち位置を一つのセールスポイントにしておられるようですが、あんまり押し出しすぎてもくどくなるだけなので、ほどほどによろしくです。

と、何だかんだ言っておりますが、どうにも憎めないんですよね、彼女の音楽は。常に「彼女」の存在あってこそ成立する音楽を届けてくれるので、純粋に彼女の潜在的な音楽性や歌声に惚れている俺としては、今後どんなに内容が薄っぺらい曲を提示されても、自ずと愛着が持てちゃうのでしょう。既に苦境を二度経験している彼女。今回の再始動が”三度目の正直”となれるように、俺自身も陰ながら精一杯応援していけたらなと思ってます。

『I AM』(Amazon)

傳田真央『I AM』(2009/12/09)
1. Always Love
2. Bitter Sweet
3. Zutto
4. 泣きたくなるけど
5. 晴れ時々雨
6. Let it go
7. Breathe In Love
8. Be My Hero
9. ONEWAY Exp.
10. Butterfly
11. My Style
12. リトルメアリ
13. Someday
14. 耳もとにいるよ… ~Ring the bells REPRISE~

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