JAPANESE R&B

Nao’ymt 『Nao’ymt wit’ -1st Season-』 才能が、金や権力に負けないように

安室奈美恵、三浦大知らに曲を提供していることでも広く名が知られるNao’ymtの自らの立ち上げた企画『Nao’ymt wit’』の第1期集大成アルバム『Nao’ymt wit’ -1st Season-』。この企画は、Nao’氏作のトラックに、他シンガー(&ラッパー)が歌を乗せ、更にはそれをiTunes Music Storeで配信するというもので、今作はそのiTMSで配信された全楽曲をコンプリート&初CD化、更にはS-key-A wit’の新曲『Okay』と、Nao氏もメンバーの一員を務めるJ-R&B史に燦然と輝き続けるコーラスグループ・Jineの配信楽曲も収録されたこの上ない豪華盤になっています。

『みんなの才能が、金や権力に負けないように』というNao氏の掲げたプロジェクト・ポリシーに賛同したアーティストは、宏実、S-key-A、STY、優美、真之介、まりか、タイラヨオら天賦の才能を授かった実力派ニューカマーがほとんどで、このCDを聴くとJapanese R&Bの際限ない明るい未来を身体全体で感じる事が出来ます。

捨て曲の見当たらない名盤なんですけど、中でもオススメは⑨『THINK ABOUT YOU/優美』と、⑮『Lil’ Goldfish/まりか』の2曲。前者は「♪I think,think about U/チクチク痛む♪」の押韻具合が可愛らしいメロウ・ジャム。元avexのガールズグループ・TRINITYのメンバーだった優美の艶っぽいボーカルの織り上げる切ない世界観に一気に引き込まれる名曲です。後者は、この楽曲以前は歌手経験がなかったといういわばこの世界の”素人”のまりかが挑んだ、十分とはいえない愛の形を歌ったムーディー・ナンバー。このまりかが実に曲者で、”ベテラン”顔負けの表現力で聴き手を瞬時に無垢な空間へと連れ去るはずです。琴の音をフィーチャーしたりと和を強く意識したNao氏らしいサウンド・アプローチとの相性もwit’メンバー中ピカイチでしょう。最後のHookへの盛り上がりはただただ圧巻です。

そのほか、ポジティブなメッセージを込めた前述の新曲②『Okay/S-key-A』、wit’プロジェクト記念すべき第1弾の③『OH OH/宏実』、Nao氏自身がボーカル担当したラッパーKozo客演曲④『Next Morn’/Kozo feat.Nao’ymt』、安室ちゃんの「White Light」に似た深々としたサウンド・アプローチで展開するスロー⑤『We Can’t Back/YUKALI』、エレピが麗しく流れる正統派ミッド⑦『Your Place/真之介』、タイトルからも連想される宗教的な雰囲気ムンムンの無機質アッパー⑧『Hot Voodoo/タイラヨオ feat.AKIYO』、Nao氏同様Pro.として現在大活躍のSTY氏がシンガーとして参加した⑫『Sorry/STY』、官能的なリリックに悩殺されること必至な⑭『Sweet Apple Pie/優美』、和楽器の音色を全面に押し出した物物しいトラックにDVをテーマにリリックを書き下ろしたという独特の奥深さがツボの⑰『No Respect/Jine』、そして8年前に制作され現在も多くの人に支持されている情感溢れる3人のハーモニーに涙がちょちょぎれる名スロー⑲『Bedroom/Jine』、そしてNao氏のHP上のBGMとして話題を博した最強にスウィートなインスト『INTRO』『OUTRO』などなど、Nao’ymtの歌い手を尊重した辣腕ぶり、その歌い手さんたちの個性が詰まった充実の内容、そして19曲という大ボリュームなど、とにかく全体を通して「濃厚」この上ない仕上がりです。「軽~いノリの商業性R&Bには飽きた」という方は是非手に取ってみてください「Japanese R&B」に対する見方が大きく変わるはずです。

『Nao’ymt wit’ -1st Season-』(Amazon)

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