JBS CHART

2025年のJ-GROOVEをレビューとプレイリストで振り返る

2025年もたくさんの名作に恵まれました。今回はその総括企画として、JBSGROOVE運営者が独自に選曲したプレイリストと、ピックアップした30曲のレビュー(という名の雑感)をランキング形式でお届けします。今年の傾向を振り返るとともに、新たな邂逅やディグの一助になれば幸いです。

JBSGROOVE選 2025年のTOP25

No.25 川島明, 横田真悠「Time Line」


藤井隆のプロデュースで初のアルバムをリリースした麒麟の川島明。これがかなり粋な仕上がりで、とりわけ本作は横田真悠の小気味よい歌声も相まってすこぶるピースなシティ・ポップに。She Her Her Hersの楽曲提供にアッパレ。

No.24 voquote「YOU GOT THAT (feat. VivaOla)」


近代J-R&Bにおける重要コレクティブ、w.a.uのKota Matsukawaによるダンス・ミュージック・プロジェクト。2ステップを基調にしたサイケデリックなトラックと、爽やかに浮遊するVivaOlaのボーカルが最大級に気持ち良い。

No.23 Ayumu Imazu「あなたといたい」


”踊るAyumu Imazu”ばかりに心酔していると面食らうかもしれないけど、純粋に名曲。ハネを強調したソウル・バラード風のサウンドも、幼馴染の結婚をきっかけに制作したというポエティカルなリリックも、その柔らかい歌声のもとで様になっている。

No.22 UEBO「僕のいない海」


ネオ・サーフミュージックを謳うシンガーソングライターの2025年第一弾シングル。タイトルに違わぬ寂しいストーリーを持つ楽曲ではあるものの、そこはかとなく残る温かみに見る見る心を洗われていく不思議さ。メロディと歌声の勝利。

No.21 DJHIRo & DJ AP「Last or Forever (feat. AMAYA & Daiki Blunt)」


大阪のAMAYAと愛知のDaiki Blunt、注目のシンガー2組によるデュエット。ジャジーなピアノラインを敷いたトラックの上を、ブルージーかつ艶っぽくたゆたう両者のテクニックに恍惚すること請け合い。

No.20 LANA「Summer Ride (feat. ¥ellow Bucks)」


今年の猛暑に吹き込んだ有り難き涼風チューン。大人気フィメール・ラッパーによるウェッサイな手法は、どんなポップ・アイコンも目じゃない図太き愛らしさが満載。00年代リスペクトも存分に伝わってきます。

No.19 Show Chick Boy「おもえば」


初のワンマンライブを開催するなど精力的な活動が印象的だった大阪府出身のR&Bシンガー。オーセンティックなスロウ・ジャムにして、彼のまっすぐな歌心が伝わる澱みのない仕上がり。

No.18 aimi & Modesty Beats「The Bdst.」


現代に輝くR&Bの伝道師が2025年初頭に送り出したシングル。メッセージの強いナンバーを多く持つ彼女ですが、本作は特に強靱な決意が見て取れて、さらにそれがボーカルの勇壮さとも見事なほど連動していたように思います。

No.17 中島健人「Jasmine Tea」


2024年にソロ・アーティストの道を歩み始めた”ケンティー”の1stシングル『MONTAGE』に収録。アイドル然としたイメージが強い彼ですが、一方でシティ・ポップやR&B由来のメロウなプロダクトにも違和感なく乗っかれるのがこの上なくセクシー。

No.16 GooDee「Deep Inside」


AOTL所属のプロデューサーとして、Yo-Seaや3Houseらに楽曲提供を実施。その深遠なるクリエイティビティを、暮れゆくネオ・ソウルと絡めながら丁寧に落とし込み、サウンドはもとよりリリックにおいても知的さ際立つ一曲に。

No.15 佐久間龍星「Slow brew morning」


沖縄県嘉手納町出身、1997年生まれのシンガー・ソングライター。折に触れてIsland R&Bと形容されるのどかなサウンド・ワークに加え、本作に関しては90年代のフィーリングもファットなビートを通じて芳しく表現されており、チルにもダンスにも対応。

No.14 2FACE「My Boo」


プロデュースチーム「PROJECT K」が主催したオーディション「ガルズナビ」出身のガールズグループ。ファッションに接近したリリックやユニゾン形式の温和なボーカルといった青春的意匠に加え、R&Bコンシャスなプロダクトも甘美に響かせていると来れば、あとはもう雑念を消してドラマに浸るだけ。

No.13 HIKKA「Taboo」


2024年にデビューを果たした宮崎県出身の女性シンガー。ヴィンテージ感溢れるヒップホップ・ソウルで、所属するFunky Jamの先輩・久保田利伸を彷彿させるド直球な仕上がり。編曲はSUNNY BOYが担当。

No.12 EMI MARIA「Froze」


「沖縄Trip 連れてくキッズ 泊まるはリッツ」「電動ママチャリ 漕いでいなげや」など、女性/母/妻としてのリアルを伝える強烈なパンチラインの連続。日常的によほどハスリングしていなければ到達できないであろう表現、フロウの数々に頭の下がる思い。

No.11 MAZZEL「I’m yours, You’re mine」


Y2K趣味が多分に見て取れた今年のBMSG作品の中でも指折りのクオリティを誇るR&B。RAN,TAKUTO,KAIRYUの歌唱メンバーによるスムースな歌いっぷりはグループの新たな妙味を呼び覚ましたと思う。本作が気に入ったら、同じALYSA関与の「ICE feat. REIKO」もぜひ。

No.10 MoMo & Taka perry「TIME (feat. MFS)」


神聖な「Time〜♪」のコーラスだけでもうイチコロ。今年は濃厚なEPも届けてくれて感無量でした。それにしても、Taka Perryは今年の顔すぎるな。敏腕。

No.9 OMW「Ma Icca」


DOBERMAN INFINITYのラッパーP-CHO、R&BシンガーのJAY’ED、そしてビートメーカーのNAOtheLAIZAの旧知の仲3名によるユニット。LP風ジャケットからも見て取れる都会的な意匠が、「豪徳寺のコーヒーショップ」という強烈なラインとも合わさりいつも以上にチルな情趣を運ぶ。

No.8 Nao’ymt「皆既 (feat. 三浦大知)」


25周年イヤーを記念したNao’ymtの連続リリースは、Jineのリユニオンなど多くのトピックを生みました。とりわけ、20年近くも楽曲提供を続けている三浦大知との共演は、初のデュエットである事実を忘れさせるぐらいに同化した両者の気迫、波動に圧倒される傑作。

No.7 碧海祐人「あいしあっていく」


人の温もりを可視化したかのように優しくて、でも確かに力強さもある手触りに心を奪われました。多様なジャンルを飲み込んだアルバム『光の路』も、彼にしか描き出せない素朴なドラマの宝庫。

No.6 FLEUR & Rikuto Nagira「11」


史上もっとも精力的にリリースを重ねていたFLEURの2025年を代表するバラード。lo-key designのプロデューサーでもあるRikuto Nagiraのサウンド・ワークはとてもシンプルで、FLEURが鳴らす哀愁のトーンをじんわりと際立たせる名人芸を発揮。

No.5 XG「MILLION PLACES」


2024年から実施していたワールドツアーでの”特別な経験”をもとに制作された美しいR&Bスロウ。サビで沸き起こる重厚なハーモニーが、その道程の重みを象徴するようで圧巻。2026年1月のニューアルバムも楽しみ。

No.4 SWEE「月の下でキス」


私小説かのようなローカル感も魅力になっているEP『4:4』のラストを飾るバラード。歌うのは、日本人の父と韓国人の母を持つ横浜出身のシンガー/ラッパー。ロマンティックな情景描写はもとより、淡いニュアンスを乗せたファルセットの多幸感よ。

No.3 さらさ「Thinking of You」


湘南出身のシンガー・ソングライターによる今秋のシングル作。かねてより90年代R&Bの再来と目されてきた彼女の魅力が極まった一曲で、当時を知る身の率直な感想としては「こういう音を奏でるアーティスト、いたいた!!」(もちろんいい意味で)。持ち味のアンニュイな歌唱も、かの世紀末を覆っていた危なげな空気の醸成に一役買っている気がする。

No.2 HANA「My Body」


2025年をフルスロットルで駆け抜けたちゃんみなプロデュースの7人組ガールズ・グループ。出身オーディションの「No No Girls」からウォッチし続けていましたが、アトランタ・ベース風のポップなトラックに乗せてセルフ・ラブを唱えるこの楽曲がピカイチでした。NAOKOのスムース・ボイスとKOHARUのスパイシーな技巧の対比が良い。

No.1 藤井風「Prema」


2025年を代表する名盤『Prema』の表題曲。アルバムを通じて80〜90年代の再解釈が冴えていますが、中でもゴスペルの荘厳さとジャズのクールネスをプリミティブに掛け合わせた本作は、全英語詞で届けられるという報せに対する漠然とした戸惑いを瞬時に吹き飛ばすほどのエネルギーに満ち満ちていました。文句なし、無類のナンバー1。

▼JBSGROOVE選 2025年のプレイリスト

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