Jineの連続リリース4作目は、優雅に夏を過ごすための必携ソング「Crazy-One Love-」。ジャケットからも見て取れるように、今回のテーマカラーは「青」。澄み切った青空や絵に描いたような群青の海など、日常離れした癒しの空間を情景豊かに演出する誇らしきスローナンバーに仕上がっている。
聴いてまず驚いたのが、メンバーのEijiが前々作の「If I Said」以来、ほぼソロ同然でメイン・ボーカルを担当しているということ。独特の儚さを備えたEijiの歌声は、奥行きを意識したアレンジとの親和性も抜群で、曲の後半では清々しいフェイクとともにその可能性が大きく羽を広げている。
サウンド面では転調を効果的に用いることで、先述したEijiのボーカルは元より、英語主軸のリリックの持つ優しい語感をも、ビビッドな形で響かせることに成功。独特の起伏を辿るメロディは、Nao’ymtがかつて手掛けたRingの佳曲「Perpetual Snow」を思わせるメルヘンチックな質感でこちらも好感。JineがJineなりに築き上げたドラマティックの王道、そしてシンプルに魅せる姿勢が強く活きた名曲だろう。
▼前作「Pony」レビュー