昨年、自身初となるアルバム「LISTNER KILLER」をリリースしたKIRAが、新たな作品「SURVIVE」を発表。ここ最近のKIRAの順風満帆な活動はファンなら誰もが知るところだが、本作のキーワードは”愛と裏切り”という、いつになくシリアスなもの。”愛と裏切り”、すなわちKIRAにとっての希望と絶望入り交じるストーリーが、きめ細かいサウンドワークを通してスリリングに描かれていく。
たとえばリードトラックである「BINBO RAINBOW」は、バイトに追われながら夢を志すポジティブな女の子が主人公。KIRA自身の経験をそのまま投影させた内容で、溌剌としたメッセージのほか、ユーモラスな貧乏エピソードにも思わずほっこりすること請け合いだ。
一方、7曲目の「心の灯を消して -End of the love-」では、閉塞感のあるブルージーな曲調と共に、絶望の淵に立たされたやり場のない心情を表現。「もう何も信じられない/愛などない」といった悲観的なフレーズを、うなだれた歌唱でポツリポツリと紡いでいく様は圧巻の一言である。
上記の2曲をはじめ、UTAと為岡そのみ関与によるドラマティックな世界観を広げた珠玉のラブバラード「星が輝く夜」 、禁断の恋を艶っぽく歌い上げる「Ice Cream Harmony」、敬愛するRYO the SKYWALKERとのやんちゃなコラボ作「Dance Magic」、哀しみをバネに決意を新たにするアッパー「And I… S.U.R.V.I.V.E」など、本作には悲喜こもごもの人生を全うするたくましい女性の肖像がずらり。掲げるサウンドジャンルも、KIRAのルーツにあたるR&Bからポップ、レゲエ、エレクトロとじつに様々なので、数あるアプローチの中から自分に打って付けの”ライフソング”を見つけ出してみるといいだろう。