コラム

物議を醸したあの曲も。『サマーアンセム 2008』 Vol.2

さてさて今回は、先日Vol.1をご紹介した特集「Summer Anthem」の第2弾をお送りします。Vol.2では、ミッド~スローテンポの楽曲を中心に全14曲をご紹介。それではどぞー。

Summer Tribe◆Dragon Ash 『Summer Tribe』(00.07.12)
日本のレペゼンミクスチャーバンド・Dragon Ashの2000年発のナンバー。ドリーミーなサンプリングが活きるトラックで、バカンスに浮き足立つ夏を見事に盛り立てる極上フロアバンガーです。当時の彼らは、出す曲出す曲がヒットを飛ばし乗りに乗っていたわけですが、この曲ではそのパフォーマンスぶりが、かつて「Grateful Days」で競演したZEEBRAのそれと酷似していると、結構な批判が相次いでたんですよね。実際憤慨したジブさんが、2002年にキングギドラが復活した際に、「公開処刑」という楽曲でKjを猛烈にdisっています。

Close to You◆Tyler 『Close to you』(00.09.06)
ダンサーとしてのキャリアもあるR&Bシンガー・Tylerの4thシングル。「真夜中も夏も二人だった」と揺るがない愛を艶っぽいボーカルで歌うミディアム・ダンサーで、厳密には夏のことを歌った曲ではないのですが、涼しげなメロディーと落ち着いたビートラインは残暑の時期にピッタリだと思ったので、ご紹介しました。彼女は1999年~2000年代初頭までのJ-R&B最盛期に、斬新なアプローチでシーンを盛り上げた内の一人なんですが、現在はまったくの「今何処?」状態で。誰か彼女の今を知っている方いましたら、情報求む!

BABY GIRL◆ZEEBRA 『BABY GIRL』(01.08.08)
日本のHIP HOPシーンのオーソリティーに君臨するZEEBRAの2001年のサマーチューン。HIP HOP/R&Bには欠かせないテーマとなっているビッチとの情事ネタを、彼らしいユーモアを織り交ぜて綴っています。ボトムの軽いチル・トラックも、下半身のだらしない男そのもののようで、なんか笑えます。

潮騒◆Skoop On Somebody 『潮騒』(01.08.22)
現在も精力的に活動を続ける息の長いバンドであるSOSの2001年のスマッシュヒットチューン。「こんなに好きと言わせた癖に~」と失恋の痛みをハンパない情感を込めて歌うメランコリック・バラッドで、基本的に明るく大らかなものが多い彼らの楽曲の中では、特異なオーラを放っている1曲です。その後「Sha la la」「a tomorrow song」と立て続けにヒットを飛ばし、本格的に軌道に乗り始めた彼らですが、俺の中ではこの曲が、いつまで経っても不変のNo.1 SOS’s Songです。

Sunshine◆BENNIE K 『Sunshine』(01.10.31)
先日リリースされたベスト盤も大ヒットを収めた2人組ユニット・BENNIE Kの3thシングル。清涼を極めたコード進行と、程よいリズム感がたまらないグルーヴィーチューンで、プロデュースはあのTiny Voice,Production。大衆的な楽曲で世間を魅了し続ける現在の彼女らのスタンスからは想像もつかないほど、コアな魅力の詰まった1曲です。

恋はオートマ FEAT.HI-D/DABO◆DABO 『恋はオートマ feat.HI-D』(02.08.28)
Mr.フダツキーことDABOの2002年のシングル。客演キング・HI-DがHookを担当した緩~いナンバーで、ボキャブラリー豊富な彼の紡いだリリックと、それらをテンポよく束ね上げる巧みなフロウは、何度聴いても絶品です。このシングルの発売直後にリリースされたアルバム『HITMANや、各方面からの評価も高い1st「PLATINUM TONGUE」など、彼のアルバムはどれも、自らの持ち味を崩すことなく、シーンに満遍なくアプローチを図った名盤ばかりなので、この曲を聴いて彼に興味を持った方は、ぜひチェックを!

Rain◆EMYLI 『Rain』(03.06.25)
若干15歳でデビューし、その圧倒的な歌唱力で音楽ファンやシーンを唸らせた才女・EMYLIのデビューシングル。叶わぬ恋の行き場を自ら見出す繊細で、でも強く芯のある女の子の心情を綴ったこの曲を、当時わずか15歳の彼女が自由自在に声帯をコントロールして抑揚タップリに歌いこなしていく様は、ただただ圧巻でございます。「雨」というキーワードを全体を通して効果的に用いているのにもこれまたグッときちゃうんですよね。ブログ活動を始めて以来、何度か彼女を紹介させてもらってますが、いくつ年月を重ねても、やっぱりいいものはいい!名曲です。

セミダブルの無人島2004◆B-FRESH 『セミダブルの無人島2004~夏の恋人達へ~ feat.LITTLE,aile』(04.07.22)
BELL、DJ BEAT、CAKE-K、そしてCRAZY-AからなるHIP HOPグループ・B-FRESHの、1998年にリリースしたシングル曲のリメイク作品。リメイクではKICK THE CAN CREWのおチビMC・LITTLEと、2002年デビューのフィメールR&Bシンガー・aile(エル)をフィーチャーし、優雅な夏を演出してくれるゴージャスこの上ないコラボレーション作品に仕上げています。Hookでの「セミダーブダーブダブの無人島~♪」というキャッチーなフレーズや、3者3様の肩肘張らないパフォーマンスっぷりなど、聴きどころ盛りだくさんの1曲です。夏のさまざまな場面、特にバカンスには、持って行って決して損はないはずです!

Summer time cruisin' (DVD付)◆COLOR 『Summer time cruisin’』(05.08.24)
EXILEから派生したR&Bコーラスグループ・COLORの2005年のサマーアンセム。当時はまだATSUSHIがメインボーカルを執ってました。今をときめくプロデューサー・STYの手がけた、琴線にヒットを連発させるキャッチーなメロディーラインが冴え渡るキラキラミッド・チューンになっており、今尚R&Bファンのみならず、たくさんの人に支持され続けています。「夏ウタといえば?」と訊かれたら、真っ先にこの曲が浮かぶってぐらい大好きな曲です。今のCOLORも好きやけど、なんやかんやでATSUSHI在籍時代が神がかってますわぁ。

Naked◆SOULHEAD 『One More Time』(06.03.08)
Vol.1に続いてご紹介のソウルシスターズ・SOULHEADの、3rdアルバム『Naked』に収録されていたナンバー。友情と恋愛の狭間で揺らぐ女性を描写した夏らしい粋なナンバーで、切なさと明朗さが同居するリズミック・トラックに乗せ、相変わらずの息の合った掛け合いをスムーズに聴かされると、本当に暑さなんか一瞬で吹っ飛んじゃいます。原曲も素敵ですが、Remixアルバム「CRYSTALLIZED」に収録されているOCTOPUSSYのRemixも最高に気持ちがよくて、オススメです。

◆Nao’ymt wit’ まりか 『Lil’ Goldfish』(06.07.26)
大好評を博したNao’ymtと歌い手とのコラボ企画「Nao’ymt wit’」の1st Season初期に封切られた、素人シンガーまりかとの競演曲。古き良き和情緒が広がるリリックや、ひぐらしの鳴き声をサンプリングした涼しげなトラックなど、Nao氏が用意した孤高ともいえる世界観や、タイトルのとおり、まるで金魚のようにその中を悠々と泳ぐまりかの厳かな歌唱は、楽曲という次元を超えてひとつの芸術作品の域に達してます。神々しすぎる!森の中で避暑しながら聴きたい癒しの極致、ここにあり。

Candy magic◆SATOMI’ 『Candy Magic』(06.08.02)
UKデビューも果たしているシンガー・SATOMI’の日本での2ndシングル。キュートな”キャンディー”ボイスにハートを撃ち抜かれてしまう事請負の甘酸っぱいポップチューンで、当時FM局が総力をあげてヘビロテしてたので、よく耳にする機会がありました。この曲の何がいいって、ベタベタなラブソングなんやけど、しつこさがほとんどないってとこ。こういう屈託の全くない王道ソングも大好物なので、一回聴いて即CDを買いました。

SUMMER PARADISE~Risin’to tha sun~ feat.青山テルマ◆DS455 『SUMMER PARADISE ~Risin’ To Tha Sun~ feat.青山テルマ』(07.06.06)
ジャパニーズ・ウェッサイといえばコヤツら、DS455の昨年のシングル。
今や人気が鰻上りの青山テルマを客演に迎え、「夏だから楽しもうゼ!」と聴き手にけしかけるライト層狙いのミッド・チューンになってます。実際「海に行こう!」「パーティーしよう!」「ドライブ行こう!」など、聴いてると自然と感覚が能動的になっちゃいます。不思議なもんですw 爽やかなグルーヴ立ち込めるトラックも、無論夏仕立てで文句なしのクオリティ。

何度も(初回限定盤)(DVD付)◆青山テルマ 『何度も』(08.07.09)
ラストは上のDS455にも関与した青山テルマの最新シングル。
いつかの恋が忘れられずに、懐古しながらやりきれなくなる・・・という女性に有り勝ちなシチュエーションをこれでもかと手堅く描写したミディアムナンバー。爽やかなメロとのコントラストが切なさをより増幅させ、聴き手の感情移入がしやすい構成になってます。

という事で、全2回にわたってご紹介してきました。今回紹介した楽曲のほかにも膨大にある夏ウタですが、聴く人それぞれが、自分に見合った最高の夏ウタをパートナーに、今年の夏をブイブイ満喫出来ることを願っております。

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