歌って踊るのみならず、俳優業もすっかり板に付いてきたエンターテイナー:松下優也が、他ユニットで活動していたKOUDAI、SJ、T-MAXと共に結成した4人組ダンス・ボーカルグループ、それがX4。ユニットの誕生自体、かなり唐突に発生したトピックだったわけだが、そこから初のアルバム作品『XVISION』_のリリース、さらには全国20カ所でのライブの開催を矢継ぎ早にアナウンスし、彼らの注目度は瞬く間に上昇した。
肝心の音楽性もしっかりと作り込まれていて、ビジュアル・ワーク通りとも言えるクール一徹のダンス・チューンからセクシーな節回しを駆使したミドルR&Bまで、メンバーそれぞれの技量が全方位へと発揮されている印象を受ける。彼らのスタイリッシュな流儀を噛み砕くに、ここ日本でも2010年代前半にムーヴメントを巻き起こしたK-POPアーティストに少なからず影響を受けていることは自明だが、粘着性のあるラップを披露したかと思えばサビでは潔いほどポップに煽動する「Future, Super, Duper, Nova」のように、単なる模倣とはきちんと一線を引いている点がミソ。それどころか、どの楽曲にも独自のスパイスを潜ませ、X4そのもののフックにもなり得る楽曲を数多く提案している。それは裏を返せば、仮に松下優也の音楽を熟知している人でも新しい感動を誘発されやすいと言え、まさにこの体裁、このフォーメーションだからこそ成立した革新的作品である。
主な収録曲はほかに、荒削りなギター・サウンドを従えた熱気ほとばしるアッパー「FIRE」、東方神起やCrystal Kayとの仕事で知られるH.U.B.が喪失感あふれる叙情派リリックを提供したミディアム・バラード「最後の言葉」、松下優也の「She’s A Liar」に続きB.Thompsonが本領を振るったジェントル路線のR&B「Little Longer」、スムースな歌声と情欲を掻き立てるリリック、そしてジャズ・バンド風のリズミカルなサウンドと三拍子揃った本作随一の異色曲「Heaven」、四者四様のヴォーカル・ワークで彩るオーセンティックなスロウ「LOST GAME」など。アレンジ面のクオリティに関しては言うに及ばず、メンバーの立ち回りもこちら側の予想を大きく上回る健闘を見せているため、どのテイストが彼らの魅力を引き立て、またファン精神をくすぐるのか、一歩踏み込んだ形で吟味してみるのが一興だろう。
X4 『XVISION』
2015年2月22日発売
<収録曲>
1. Theme of XVISION
2. FIRE
3. Bang A Gong
4. Future, Super, Duper, Nova
5. 最後の言葉
6. 三日月
7. Raindrop
8. Little Longer
9. Heaven
10. I Don’t Know Your Name
11. LOST GAME