今秋大学を卒業するシンガー・Crystal Kayのニューアルバム『Color Change!』(08.08.06)。先月、先々月にリリースされた2枚のパイロットシングルを含む全12曲です。今作の注目ポイントはやはりなんといっても、世界的なプロデューサーJam&Lewisとの再タッグと、スウェーデンのプロデューサーチームBloodshy&Avantとの初顔合わせ楽曲が収録されているという点。発売前からクリちゃんとの作品を想像しては、生唾飲みまくってました。
1. 涙のさきに
6月発売のシングル曲で、ロッキッシュなアプローチで送るキャッチーな応援ソング。クリちゃんがここまで溌剌と歌っている事に、当初は相当違和感があってモヤモヤした気持ちでいたんですが、今やすっかり自分のヘビロテチューンに。
2. ONE
ポケモンの最新映画の主題歌にも起用された、先月リリースのシングル曲。友情の尊さ・大切さについて歌った、ハートフルなミッド・アッパーになっています。
3. Good Times
この夏フル稼働のプロデューサー・STY作楽曲Pt.1。いかにも彼らしい忙しないビートラインとメロの重ね方が特徴のツヤツヤアップチューンです。リリックは作詞家・H.U.B.が担当、パーティーでの1コマを切り取った、突発的なラブストーリーになってます。
4. Help Me Out
最近では山田優のアルバムで健闘していたHIRO作の、エモーショナルなPOP/R&B作品。
抑えるところを抑えた抜かりないメロディーラインに惚れ惚れします。恋におぼれる女性の心情の変遷をしっかりと掴み、ボーカルというフィルターを通して華麗に立ち回るクリちゃんにもただただ脱帽の、オーソドックスだけど侮れない1曲。
5. ITOSHIIHITO
天下のジャムルイ提供楽曲1曲目は、持ち前の本格手腕をブイブイいわせつつ、日本のマーケットにも堅実に的を絞った、独特の淡さを放つミディアムチューン。リリックがほぼ日本語で占められているのにちょっとビックリしましたが、歯切れのよいシンセ音や、予測不可能なボーカル構成など、全体を通して見ると、あ くまでもジャムルイ・クオリティのもと成り立っている楽曲である事が歴然でございます。
6. 帰り道
ここへ来て流麗なバラードナンバーが登場。終始日本語詞で構成された和情緒溢れるナンバーで、人間味溢れる温もりをひしひしとそのリリックから、ボーカルから、そして幻想的なストリングスの音色が楽曲を包み込むトラックから、感じ取る事が出来ます。
7. トキノカケラ
こ ちらは光沢あるピアノの旋律をフィーチャーしたスローテンポ楽曲。個性を振るう6曲目の後の曲だけにとりわけ地味な印象ですが、聴きおわった後の余韻に関 しては、アルバムきっての味わい深さだと思います。ただ単に泡沫的なものに終止せず、きっちりと希望=答えを用意したリリックと、それに合わせた大らかな アレンジも秀逸です。
8. TIME GOES BY
STY 氏Pro.楽曲Pt.2は、ふと立ち止まり追憶に浸る・・・という誰しもが経験する内容をドリーミーなトラックで盛り立てるキラキラミッドR&Bチューン。「楽しい事も悲しい事もあった過去を糧に、未来を歩いていこう」という芯のあるメッセージを、この曲は訓えてくれます。
9. I Can’t Wait
爽 やかなグルーヴが冴えるジャムルイプロデュース楽曲2曲目。かつて彼らとクリちゃんが初タッグを組んだ「Kirakuni」同様、ほぼ全て英語詞でエン ディングまですべらかに駆け抜けるダンス・ナンバーで、一時代を気付いたJanetとジャムルイの黄金コンビを彷彿させる泥臭い清涼感がたまらない1曲になってます。この特異なまでの中毒性は、彼らならではといったところ。万歳!
10. Shining
昨年11月にリリースされたミニアルバムのリード楽曲。冬をコンセプトにしたほっこりアッパーで、CGを多用したPVもファンタジックで素敵です。
11. It’s a crime
ブ リちゃんことBritney Spearsの作品をはじめ、これまで多数の著名アーティストと組んでは世界中を席巻してきたスウェーデンのプロデュースチーム・ Bloodshy&Avantが、クリちゃんの楽曲に初登板!スリリングなサウンドが爆発的に蔓延するダンス・エレクトロ楽曲で、間違いなく彼女 の新機軸になったであろう1曲です。ボーカルエフェクトもガンガンで、それにこのピコピコサウンド!これまでのクリちゃんが好きな人は面食らっちゃうかもしれませんが、これぐらい冒険心剥き出しの方が、アルバムに収録する甲斐があるってもんですよね。
12. History
ラストはリズミックなアッパーチューンで幕引き。ずぼらな男に辟易する女性が主人公の内容で、これまでにも「What time is it?」「Baby Cop」などの楽曲で何度も用いられてきた、いわばクリちゃんにおける”永遠のテーマ”なわけですが、まさかフィナーレとしてそういう趣旨の楽曲を持って くるとは・・・。でも毎度思いますが、さも慣例儀式のようにラストにスローテンポの楽曲を持ってこないのは、近年の彼女の作品のいいところだと思います。