安室奈美恵のニューアルバム『PAST < FUTURE』(2009/12/16)をレビュー。3月にリリースしたシングル曲「WILD/Dr.」以外はすべて新曲で構成された、全12曲収録です。
今回のコンセプトはズバリ、「Re:スタート」。従来の自分に備わっていたスタイルやイメージを打破し、”新たな安室奈美恵”をファンに提示しようという意欲のもと制作された1枚です。昨年大ヒットしたベスト盤「BEST FICTION」のアー写を破り、その間から顔を覗かせる「ホラー安室」もただ今話題沸騰中。
1. FAST CAR
今作のハイライトともいえる、チャールストンを要素に取り入れたスウィンギーなジャズ調ナンバー。
ホーンと裏打ちリズムの織り成すクールな疾走感で、のっけから飛ばしてくれます。
PVはすこぶるセクシー。
2. COPY THAT
「ヴィダルサスーン」のCMソングでもお馴染みの、キャッチー路線のオフィス・ソング。軽妙なメロディーのもと、michico節によるユニークな譜割りが炸裂します。安室ちゃんの可愛さと凛々しさの両面を押し出した佳曲ですが、冗長なアウトロがやや玉に瑕。
3. LOVE GAME
恋愛の駆け引きを「ボクシング」に例えたタイトなR&Bチューン。「BLACK DIAMOND」で競演したDOUBLEが作詞を担当、ボクシング用語満載の臨場感溢れる内容になっています。起伏のほとんどないHookも、恋愛に”闘志”を燃やす女性のシリアスさを巧みに演出。
4. Bad Habit
重量感あるメロディーにさっぱりとしたリリックを掛け合わせた、真骨頂R&Bダンサー。「歌ってみて la la la」の不意な茶目っ気にヤラれました。ちなみに今作を購入して初めて耳にした新曲群(④⑤⑥⑨⑫)の中では、一番のお気に入りです。
5. Steal my Night
今年大活躍を果たしたJeff Miyahara氏プロデュースによる、スリリングな展開を見せるアップチューン。
複雑に入り組んだエッジーなシンセサウンドは、安室ちゃんのキレのある歌唱になかなかハマってて好印象。だけど個人的には、メイサあたりに提供した方がより個性が引き立ったんではないかなと思ってます。
6. FIRST TIMER feat.DOBERMAN INC
オートチューンを惜しげもなくバキバキ用いた、随分とサイバー趣向のフロアチューン。
今作唯一の客演となるDOBERMAN INCは、おそらくEXILE⇒倉夫妻のルートでの起用なんでしょうが、安室ちゃんのような大物と対峙しても、鋭さ衰えない我が道フロウがカッコよすぎます。取っつきにくさが寧ろ魅力となっている希代の1曲。