JAPANESE R&B

【アルバムレビュー】安室奈美恵 『PAST < FUTURE』


7. WILD
今年3月にリリースされ、オリコン初登場首位を記録したシングル曲。子作り推奨を婉曲に提唱した、タフネス溢れる4つ打ちナンバーです。

8. Dr.
⑦同様、3月のシングル作。「ボレロ」をサンプリングしたりと、実験的な意気込みはムンムン感じるんですが、発売から暫く経った今でも、どうもイマイチ好きになれない1曲。

9. Shut Up
夫妻と共に安室ちゃんプロデュースの台頭として知られる、Nao’ymt氏制作のロッキッシュ・チューン。
他曲と比べ、歌謡色強いメロディーラインが特徴で、「STYLE」で言う「As Good As」みたいなポジションかと。ただこれ、果たして「今、彼女が歌う必要性」があるのかなぁーと、いささか疑問に感じてしまいました。確かに「攻め」のスタンスはビシビシ感じるんですけど、粘着質なメロの古臭さに加え、2番Hookラストの「巻き込まないでぇぇぇ」が妙に野暮ったく、形容しがたいやりきれなさに心が覆われます。

10. MY LOVE
②と同じく「ヴィダルサスーン」CMソングとしてオンエア中の、ミドルテンポのラブソング。
アレンジ・歌唱・そしてリリックと、すべての要素において正統さが貫かれており、常に変化を遂げつつある彼女のある種の「余裕・落ち着き」が汲み取れた楽曲です。プロデュースには、倖田來未の「TABOO」などで名を揚げた新鋭・HIROを抜擢。これを機に、更にレベルアップして頑張って頂きたいです。


11. The Meaning Of Us
個人的に最も惹かれた曲は、不覚にも彼女久々となるこのバラードでした。洗練されたピアノアレンジに寄り添い、運命の意義を悟ったように、サラリと歌い上げる彼女の歌唱があまりにも目映すぎて、気付いたときには涙腺崩壊しておりました。「ALL FOR YOU」や「White Light」など、歴代のバラードソングとはまた違う「尊く人間臭い」世界観。やはり彼女の進歩は格が違いますね、敬服です。

12. Defend Love
ラストを飾るのは、「愛」の在り方を高唱する、スケールの大きい切迫アップナンバー。「Please save us Dr.」というフレーズがあるように、「Dr.」の実質的な続編といえる内容になっています。
Nao’ymt氏の関与作らしく、三浦大知の「Inside Your Head」を彷彿させるエレクトリックなアレンジがしっかりと構成の核を担っているのがミソ。ただ哲学を交えたお堅いリリックは、少々度が過ぎてる気もするけど。


Nao’ymt楽曲の多少の残念感は否めませんが(俺のNao氏製楽曲の嗜好って本当に繊細なので、かなりバイアスのかかった意見であることは伝えておきます)、結果的には「BEST FICTION」の超絶ヒットを経ても決しておごることなく、寧ろ今まで以上に自らをストイックに表現しようと試みる「安室奈美恵」という人間に、あらためて惚れざるを得ない1枚になっていると思いました。Jeff MiyaharaやU-Key zoneら、これまで独占的に務めてきた倉夫妻/Nao’ymt氏以外の多彩な面々を迎えた点に関しても、楽曲バラエティの向上や彼女のボーカル幅の拡大に大きく影響していますし、功を奏していると思います。

「STYLE」で新たな方向性を確信し、「Queen of Hip-Pop」で自らの新生を高らかに宣言、「PLAY」ではそれを更に昇華し、好き勝手暴れまくった後、翌年「BEST FICTION」で総括。こうして改めてリリースの時系列を追っていくと、彼女が如何にしてここ=今作にたどり着いたかというのが、身に沁みて分かる気がします。新たな「FICTION」の仮面を被った女王は、更に加速度を増して、止まる事を知りません。再び大規模なツアーも控えてますし、期待してますよ奈美恵さん!

『PAST < FUTURE』(Amazon)

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