福岡発の4人組ヴォーカル・グループが初となる全国流通アルバムをリリース。福岡と言えば、大規模なオムニバス・ライブ「福岡R&B祭」が例年開催されるなどかねてよりR&B繁栄の地として一目置かれてきたわけで、彼らの台頭もある種の必然だろう。しかもこのご時世にしては珍しくわざわざ本格派R&Bを謳ったヴォーカル・グループ。R&Bリスナーの立場としては、現在の市場に風穴を開ける勢いで頑張って欲しい限り。
収録曲は全部で7曲。先行してレンタルで解禁されたシングル曲「Movin’ On」「Special Lady」を筆頭に、90’sR&B/ソウルをモチーフとした濃厚な音世界が展開される。MVも制作された1曲目「Go Ahead」は、ネオ・ソウルにも通じる有機的なサウンド・フレーズが飛び交う決意表明チューン。FREAKが作詞と作曲の両方に挑戦している唯一の楽曲で、曲中では九州男児らしい意気盛んなソング&フロウを見て取ることが出来る。
退廃的なグルーヴを敷き詰めたラヴ・ソング「Bad Lie」、切なさ滴るスロウ・ジャム「Phone Call」あたりは、題材/曲調ともにまさしくR&Bの黄金期を彷彿とさせるどストレートな楽曲。特に前者は関西出身で現在はNYに留学中のソウル・シンガーZiNgの楽曲提供によるもので、彼譲りの気だるいレイドバックや独特すぎるメロディ・ラインが抜群に活きたキラー・チューンに。また、EDMをベースにした「Let’s Get Freaky」のように今様なアプローチも散見。オールド・スクールに留まらない意欲的なスタイルを通して、将来の飛躍を尚のこと期待してしまったのは言うまでもない。
メンバー全員が1990年以降の生まれということもあって、肝となる歌唱にもまだまだ成長の余地があるはず。やはりヴォーカル・グループたるもの、どう歌声を駆使するかが人気の明暗を分けるし、先人たちのような円熟味あふれるコーラス・ワークにも物怖じせずトライしていってほしいところ。まあそもそも、この若さで90’sの土壌を真摯に掘り下げている時点で十分頼もしいのだけど……!
FREAK 『NO TURNING BACK』
2014年7月30日発売
<収録曲>
1. Go Ahead
2. Special Lady
3. Movin’ On
4. Bad Lie
5. Phone Call
6. Treasure~抱きしめたい~
7. Let’s Get Freaky