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【アルバムレビュー】中島美嘉 『TRUE』

中島美嘉の1stアルバム『TRUE』(02.08.28)。本人のデビュー作であるドラマ「傷だらけのラブソング」主題歌だったデビューシングル「STARS」から5thシングル「WILL」までのシングル曲とそのカップリング曲を網羅した、全13曲収録です。秋元康、VERBAL、今井大介、COLDFEET、おちまさと、葛谷葉子、松本隆、T2ya、川口大輔、吉田美奈子、富田恵一、おちまさと、OCTOPUSSYら、錚々たる制作陣が一堂に会している意味でも貴重な一枚。

1. AMAZING GRACE (album version)
いきなりスケール感のある歌声で魅せる、超有名賛美歌のカバー。
ピアノが主導する後半よりも、アンビエント風の前半の方がより神々しさを感じて好きです。




2. WILL (album version)
先行シングルでありながらスマッシュヒットを記録した5thシングル。ドラマ「天体観測」主題歌でした。クリエイターには「STARS」を手がけた3人組(後述)が再結集しており、同曲にも引けを取らない何とも麗しいロマンチック・バラードに仕上げています。

3. ONE SURVIVE (album version)
作詞にシンガーの吉田美奈子、作曲にVISION FACTORY御用達コンポーザー・T2yaを迎えたグルーヴ溢れる3rdシングル。生々しくも力強いフレーズの並ぶ吉田節炸裂の歌詞にとにかく圧倒されます。

4. HEAVEN ON EARTH
後に「SE7EN」「LEGEND」「LIFE」など彼女の作品を数多く手がけることになるCOLDFEETとの初タッグ楽曲。R&Bに傾倒した黒いリズムと音域の広い表情豊かなメロディーが素敵です。




5. DESTINY’S LOTUS
多方面で活躍するプロデューサー・テイ・トウワを迎えた煌びやかなダンスアップチューン。エキセントリックな展開や、ケツメイシのMC・大蔵のRapパートなど、フロアーへも対応した見せ場もキチンと作られています。




6. Helpless Rain
こちらはm-floのVERBALと今井大介がサウンドプロデュースを請け負った、中島の澄んだファルセットの映える本格派R&Bトラック。Heartsdalesが絡んだ別Ver.も存在しますが、やっぱりオリジナルであるこのVer.が一番沁みます。

7. I
今作が初収録のアルバム曲。大沢時代のbirdを彷彿させる無機質なドラムループを使用した、夢心地ミディアムです。かなりの湿り気を帯びた下手ウマボーカルが、逆に良い味出してます。

8. TEARS(粉雪が舞うように・・・)
人の息遣いのように繊細なシンセがアクセントになった、悠々としたスローナンバー。シングル「STARS」カップリング曲として収録されていた、7分弱の長編楽曲です。

9. TRUE EYES
当時目薬のCMソングとして大量OAされていた「ONE SURVIVE」カップリング楽曲。
作詞にSPEEDでお馴染みの伊秩弘将、そして作曲にシンガーソングライター葛谷葉子という豪華取り合わせで制作された清々しい正統派ポップ・ソングで、CMで流れていた頃から大のお気に入りでした。

10. CRESCENT MOON
完全限定盤としてリリースされ即完売した2ndシングル。ディスコ調のアレンジに痺れる軽快ダンサーになってます。「傷だらけのラブソング」最終話のEDのバックで中島自身がこの曲を歌っていたのが、今でも印象に残っています。

11. JUST TRUST IN OUR LOVE (album version)
SOULHEADを手がけるOCTOPUSSYがアレンジを担当した滑らかなハウスチューン。
瑞々しいサウンドと伸びやかなボーカルは格別です!




12. STARS (album version)
言わずと知れたデビュー曲。作詞に御大・秋元康、作曲にソニー所属のライター兼シンガーの川口大輔、編曲に富田ラボこと富田恵一という超強力布陣の手がけた小細工なしのスタンダード・バラード。後に何度も指摘される若干上ずり気味の歌唱は当時かなり拙く映ったんですが、今聴くと、寧ろそれありきの楽曲なんだろうなぁと頷ける不朽の名曲です。

13. A MIRACLE FOR YOU
ラストは重厚なコーラスをバックに従えた、壮大なスローナンバー。
中島自らペンを執った歌詞からは、リアルな温もりと強い母性を感じ取る事が出来ます。また、ゆとりあるメロディーのため、本編中最も彼女のビブラートが活きた楽曲でもあります。

以上、全13曲収録。
鮮烈に連続ドラマで女優デビューを果たした後、アーティストとしてもシングルヒットを世に出し、まさに絵に描いたようなシンデレラ・ストーリーを駆け上がっていた彼女の当時の勢いがそのまま投影された、気迫に溢れた1枚です。前述のとおり作家陣もえらく豪華で、彼女の処女アルバム作品を恰好の形で強力にサポートしているんですが、その反面、彼女のパーソナルな側面はほとんど顔を出す事なく終わっています。そのあたりは経験・実力ともにある程度蓄積された2nd以降に顕著に現出していく事になるので、今作ではアイドル顔負けのカラフルな作りをフルに堪能すべし。

『TRUE』(Amazon)

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