JAPANESE R&B

安室奈美恵 『PLAY』 これぞ快進撃!タイトなR&B大集合

昨年リリースのベストアルバム「BEST FICTION」が140万枚オーバーの大ヒットを記録し、見事オリコン年間アルバム1位に輝いた安室奈美恵の、現時点での最後のオリジナル・アルバム『PLAY』。ムチを用いたジャケットやPVも大いに話題になりました。

1.Hide&Seek
ホーンのいきり立ったサウンドがテンションを後押しする実質のリード楽曲。そのホーンを率いた(?)マーチングバンドの溌剌としたリズム感と、ブリブリとうごめく癖のあるシンセ音との取り合わせが痛快すぎます。SM嬢顔負けのムチ捌きに釘付けとなったPVも必見!

2.Full Moon
ドラのような打楽器の反響から幕を開ける、中毒性高いナンバー。不気味な展開を見せるアレンジや妖しさ満点のコーラス、そして後の「Do Me More」にも通ずるおとぎ話をベースにした世界観など、遊び心十分で挑んだNao’ymtのプロデュースが光ります。

3.CAN’T SLEEP,CAN’T EAT,I’M SICK
安室作品の名手・T.Kura/michico夫妻によるキレのあるR&Bダンサー。始終鳴り止まないJ.Loの「Get Right」を彷彿させる小気味よいホーンのループが特徴的です。

4.It’s All About You
夫妻にしては珍しく荒々しいロック・アプローチでリスナーに歩み寄った1曲。「自己チューな彼にはもうウンザリ」と刺々しく歌い放つ前衛的な安室ちゃんが格好良すぎて惚れ惚れします。

5.FUNKY TOWN
安室ちゃん本人出演の「リプトンリモーネ」CMソングとしてオンエアされたイカついパーティーチューン。ブラックミュージックと相性の良いラテンのテイストを効果的に取り入れている事で、グルーヴ感も一入です。

6.Step With It
M-5同様、夫妻が弟分であるL.L. Brothersと共に本領を発揮したスタイリッシュなR&Bチューン。良くも悪くも”夫妻の癖”の滲み出たサウンドではありますが、現在の安室奈美恵のキャラクターを確立する大きな契機となった、michico主導のセクシーかつ大胆なリリックはただただ秀逸!

7.Hello
「電話」「通話」をキーワードにした、スムースな聴き心地のミッド・ダンサー。
本軸であるR&B/HIP HOPにポップのテイストを適度な塩梅で練り込んだサウンドに関しては、このアルバム中最も「安室奈美恵らしい」作りだなと勝手に思ってます。PVもアルバム収録曲の中でも群を抜いて好きです。

8.Should I Love Him?
夫妻ゾーンのラストを飾るのは、夫妻ファミリーのクワイヤーがバックを重厚に盛り立てる神々しいバラードナンバー。リリックも身分の違う2人が恋をするという宗教じみた世界観で、コンセプト管理が徹底されております。安室ちゃんのソウルフルなボーカルも素晴らしい!

9.Top Secret
再突入したNao’ymtゾーンの皮切りは、「プリズンブレイク」のシーズン2テーマソングとしてアルバム発売前からオンエアされていた切迫感あるアップナンバー。同じくNao’ymtの手がけたM-2同様、”陰”を感じさせる楽曲。

10.Violet Sauce (Spicy)
シングル「Wite Light」との両A面としてパッケージされていたシングル曲を、ニューアレンジにて収録。アグレッシブなエレキギターのパートをプラスし、より野性味溢れる楽曲に生まれ変わってはいます。

11.Baby Don’t Cry
ドラマ「ヒミツの花園」の主題歌効果も作用し、久々に10万枚超えのヒット作となった一昨年1月リリースのシングル曲。物事が上手くいかず投げ出したくなる時に、さり気なく背中を押してくれる温かいポップチューンです。

12.Pink Key
そしてラストを飾るのは、「FUNKY TOWN」に続き「リプトンリモーネ」CMソングに起用された小綺麗なミディアムナンバー。光沢ある粒子がチラチラ舞うのが目に浮かぶ癒しのアレンジと、それらを引っ提げた劇的な展開は、ここまで目まぐるしく走り続けた「PLAY」ワールドの集大成ともいえる壮大な内容で、1曲目から順に聴いていると非常に感慨深い何かが身体を駆け巡ります。

以上全12曲収録です。まず今作を一言で表すと、”前作「Queen of Hip-Hop」で確立したスタイルを、より深く広く掘り下げる事に成功している作品”といえると思います。前作とほぼ同様、T.Kura/michicoとNao’ymtの2組に楽曲制作を二分させている事も大きく功を奏し、そのスタイルはブレるどころか、この作品によってより等身大の魅力と新たなポテンシャルを見出され、更に洗練されたものへと昇華されています。

そして何と言っても安室ちゃん自身の歌唱。楽曲によって表情を大きく変貌させるものの、あくまでも自分の身の丈に合った肩肘張らないボーカリゼーションを採っているのは相変わらずスゴい!各PVでの円熟したダンスも本当に魅力的で、今でも楽しませてもらってます。

『PLAY』(Amazon)

『PLAY』(Spotify)

安室奈美恵『PLAY』(2007/06/27)
1. HIDE & SEEK
2. FULL MOON
3. CAN’T SLEEP,CAN’T EAT,I’M SICK
4. IT’S ALL ABOUT YOU
5. FUNKY TOWN
6. STEP WITH IT
7. HELLO
8. SHOULD I LOVE HIM?
9. TOP SECRET
10. VIOLET SAUCE(SPICY)
11. BABY DON’T CRY
12. PINK KEY

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