アーティストたちが愛する屈指の才能と人となり
Shingo.Sが持つ求心力は、すっかりベテラン作家の地位を確立した2010年代になっても衰えることはありませんでした。特に、日本のR&B界でも世代交代が進んだ2015年以降は、冒頭でも紹介したSIRUPや向井太一、iriをはじめ、ZIN、MALIYA、Furui Riho、ASOBOiSM、Shinn Yamadaなど、将来有望なアーティストを手広い体制でバックアップ。輝かしい功績を得てもなお若手との交流を欠かさないどころか、チルブームとも共鳴する形でキャリア史上もっともディープなトラックを提供さえしてしまう心意気に、かねてより彼の音楽を知る身としては驚きと喜びを禁じ得ません。今にして思えば、そういったフレッシュな接点で生まれた刺激こそが、Shingo.Sの作風にスムースな代謝の機会をもたらしてきたのだと思います。
では次の項目からは、Shingo.Sが関わった膨大な作品の中でもとりわけシンボリックで質の高い名曲をピックアップ。業界屈指の愛されクリエイターの代表曲の数々をどうぞご堪能あれ。
彼の音楽で日本のR&Bの歴史が分かる!Shingo.S関与の名曲集
Crystal Kay「恋におちたら」(2005)
Shingo.S史を代表するヒット曲。彼による煌びやかでポップなアレンジは、Crystal Kayに新たな個性を吹き込みました。
HI-D「Be With You」(2005)
「Missing You feat. Asiah」「Without You」に続く”YOU三部作”のラストを飾った名バラード。アットホームな雰囲気作りが至高。
童子-T「better days feat. 加藤ミリヤ, 田中ロウマ」(2006)
Shingo.Sとラッパーの取り合わせでまず思いつくのが童子-T。期待の若手二名を従えた本作は、のちに日本で起こるコラボブームの先駆。
青山テルマ「ONE WAY」(2007)
デビュー作。以来、この曲のようなダンサブルなナンバーから柔和なバラードまで、Shingo.Sが幅広く手がけることに。
加藤ミリヤ「19 Memories」(2008)
ミリヤの作品のうち、ネタ元との親和性が高かったこの曲をセレクト。ギャルの教祖らしい切実なメッセージに、当時多くの女性が涙。
YU-A「逢いたい・・・」(2009)
ガールズグループ、Foxxi misQのメンバーでもあったYU-Aは、2009年のこのナンバーで華々しく、そして切なくソロデビュー。絵に描いたようなセツナ系クオリティが今となっては微笑ましい。
清水翔太「GOODBYE」(2010)
「HOME」がいきなりのヒットを記録した、ご存知R&Bシンガーソングライター。当時のトレンドだった4つ打ちビートが、名残惜しい別れのシーンを爽やかに切り取ります。
K.J.「ヒトコトでいいの・・・(with Alice)」(2012)
Shingo.S流セツナ系ソングの集大成とも取れる激情ソングがこちら。Aliceの透明感ある歌声がとにかく素晴らしい一曲。ちなみに、MVにはなぜかwyolicaのAzumiが出演。
SIRUP「LOOP」(2018)
「Do Well」と並んでブレイクへのトリガーとなったスモーキーなスロウチューン。この曲辺りから、Shingo.SのR&Bに対するコンテンポラリーな意匠は一気に加速し始めます。
當山みれい「Dear My Boo」(2018)
若き秀才としてデビュー時から話題を集めた當山みれい。清水翔太の「My Boo」に対するアンサーソングで、まさしくShingo.Sらしい再構築テクニックが映えるキュートなラブソング。
ルンヒャン「Umbrella」(2020)
Shingo.Sとの共同制作の多さで知られるルンヒャンの最新EP『MIST』より。可愛さ余る歌詞とメロディを支えるドリーミーなアレンジは、まさしくShingo.Sが有するバリエーションによる賜物。
aimi「The Wave feat. Furui Riho」(2021)
Shingo.Sのトータルプロデュースで2020年に登場した新世代のR&Bシンガー。Furui Rihoとの掛け合いを、90’s特有のときめきを内包したドラマティックなトラックが上品に盛り上げます。